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観覧車

2003年3月1日号(0303号)隔月刊
無名連句同人発行(初版1999年6月1日)

選者/牛跡

一の巻

   巣鴨の地蔵手招きをする/351
うちわ買い思い浮かべる幼い日/361
  ついくちずさむいつもの演歌/371
こだわりを一つ持ちたい一つだけ/381
  コタツの上に必ず蜜柑/391
いたずらに過ごすに惜しきお正月/401 
  野菜かき分け肉つまみ出す/411
春遅く一人娘の帰省する/421
  何やら妻とひそひそ話し/431
ちちろ鳴く風呂の外にてにぎやかに/441
  単身赴任を拒んでみたが ...030101
主人なき水槽のエビ冬を越す ...030301

*030301句選者コメント『一の巻...主人なき水槽のエビ冬を越す...サラリーマンにとって人事異動を拒むことは至難の技である。残された道はリストラしかない。で、結局どっちを選んだんでしょう?単身赴任だと思い込んでいるからいけない。奥さんを連れて行けばいいのです。でも、可愛がっている淡水エビをどうしょう。家は誰が守るのだ。そう、このエビに留守番をまかせてみよう。エビは餌がなくても生きていけるのか、エビは冬眠しないのか、などなど問題が多いが、まいっか。』

一の巻/030301の選外


猫の目の何知らぬ気に二〇〇三年
歳問われ賞味期限はとうに過ぎ
追い羽は遠き昔の屋根の上
濡れ落葉午後の陽射しにきらめきて
年越しの喧騒そとにみゆき聴く


三の巻

   松の梢に珍しき鳥/353
梅雨晴れて夕日に浮かぶ佐渡の島/363
  連絡船で絵葉書求む/373
カモメさん明日のおいらをおしえてよ/383
  時の流れに苦心さんたん/393
行く人の寒き世間に身をさらし/403

  黙したままにつかずはなれず/413
さくらんぼ一口づつが楽しくて/423
  付き合いで見るサッカー試合 /433
水不足プールで遊べぬ奈良県人 /443
 どのデパートも満員御礼 ...030103
年暮れて白河夜船除夜の鐘 ...030303
*030303句選者コメント『三の巻...年暮れて白河夜船除夜の鐘...喧噪と静寂。昼と夜。トランペットと胡弓。ゴッホの油絵とKinzo先生のパステル画。交感神経と副交感神経。対照が実に見事ですね。吉本ばななの小説に“白河夜船”といのがあるらしい。ばななの小説は読んだことはないが、お父さん(隆明)の評論なら、若いときに途中まで読んだような気がする。』

三の巻/030303の選外句


初夢にひつじカウントダウンする
寒空に売れ残りたる福袋
水仙や気品あふるる香気あり


五の巻

五月晴れいい日が続く愉快だな/355
   旅の衣を備え待つ母/365
悲喜交々七十路を往く今平安/375
  
一雨毎に秋らしくなり/385
傾きし家の形見の秋桜/395
  吃水浅きタンカーが行く/405

春嵐小走りに来る配達夫/415
  大和路深く川のせせらぎ/425
子供らの塾に通いし道暮れる/435
  酒屋通いの狸と出会う/445
里帰り話しは尽きず萩三分......030105
  今宵はピザをとることになり...030305 

*030305選者コメント『五の巻...今宵はピザをとることになり...女性の長話の帰結は、もう決まっていますね。「あら、もうこんな時間」。とか、おっしゃいまして。田舎にスクーターによるピザパイ宅配があるかどうかわかりませんが、家で待つのは子供たちではなく、お父さん、お母さんです。しかも、お父さんは入れ歯なんです。ピザの上に載っている、べったりと歯にまとわりつくチーズや、カリカリに焼き上がったサラミはいただけません。 』

五の巻/030305の選外句

  谷深ければ山高くなる
  夕陽を浴びてバス停に立つ
  民は死すとも首領は死せず



七の巻

母の日に贈る言葉もない私/357
    夜半になりて穏やかな雨/367
ひと風呂の平和かみしめ暑さかな/377
   
隣の家の風鈴の音/387
床に伏し行くに行けない秋祭り/397
   
釣鐘饅頭ふたつに割りて/407
春を待つ心はどこか上の空/417
   哲学の道桜花舞う/427
病んでみてふるさと思ふ青田風/437
   閑居の身にも衣替えして/447
ハイキング天の香久山汗ふいて...030107
   携帯電話の電源を切る....030307

*030307句選者コメント『七の巻...携帯電話の電源を切る...大和三山の一つ香具山は、写真で見ると意外と低い山です。電波障害はもちろんなさそうです。ここで携帯を切る行為は、現代文明からの遮断ですね。歴史を訪ねようとする心構えとしては、こうありたいものです。ところで、私はケータイを持たない。試験の始まる前に受験生に「PHSや携帯電話の電源を切って下さい」と告げるのだが、PHSと携帯電話の違いが分からないのである。 』

七の巻/030307の選外句


   熊蜂重き藤の花房    
   里見渡せば霞みか雲か
   何とかしてよとパウエル来る



九の巻

聴診器背中に当てて仮眠する/379
   振り向きざまに筋を違えて/389
蒸し暑く心の言葉もどかしく/399
  心残りで外に出かけて/409
秋の月遠く遠くに輝きぬ/419

  アフガン国境テントの寝息/429
彼の空の何処へ消えたか渡り鳥/439
  夜も更けた頃回覧版あり/449
出涸らしのお茶をすすりて二度寝して/459
  浴衣姿で金魚すくいて /469
満たされて今日一輪の花ひらく.....030109
  絵筆を置いて白衣を纏う......030309
*030309句選者コメント『九の巻...絵筆を置いて白衣を纏う...白衣を着用してする仕事は世にごまんとあるが、この場合、医師か、はたまた看護婦か。看護婦の制服も最近ではピンク系、ブルー系が流行っているが、これでも白衣の天使でいいのだろうか。桃色衣の天使では、何だかギョットしますね。やっぱり白衣の天使でよいのだ。ところで、看護婦の呼称はいつの間にか、看護師になっていますね。でもねー、私は看護婦さんの方が暖かくていいと思うよ。「センセー、急患です」。しかして、医師の満たされた時間は乱されてしまうことに相成る。』

九の巻/030309の選外句


  おおあくびする床屋のオヤジ
  梢の先に百舌鳥ゆれうごく
  イラク北鮮騒ぎをよそに


KinZo Comment『今回は選者の牛跡先生が学会出張のため一日遅れの発行になりましたことお詫び申し上げます/本号への多数の投句およびアクセスありがとうございました/1月1日より3月2日までのアクセスは148件でした/次号公募連句観覧車0305号への投句も引き続きよろしく御願い致します』<>20030302Osaka
KinZo Comment『誰でも匿名で参加投稿できます /各巻最終句の後ろに連想を働かせて句を付けて下さい/ 五七五の句の後には七七 の句を/七七の句の後ろには五七五の句を 投句 して下さい/ 候補句が複数の場合は選句になります/ 選句は角蛙(かくあ)と牛跡(ぎゅうせき)が交互に行います/ 投句は 観覧車専用掲示板等を利用して下さい/ 句の後ろの数字は整理用編集番号です/ 各巻は12句連で、順次先頭句から削除保存されます/一度句が載りますとその句は一号毎に上へ移動していくことになります』<>20021231Osaka

©KinZo-net/ 03/03/02